2013年6月19日水曜日

6.15 Zepp Fukuoka LIVE REPORT

「第二の故郷、福岡!」
 剛のMCも心なしか弾んでいる。
 そして何より博多のお客さんがあたたかい! 今回のレポートはファンクラブ・イベントの醍醐味、剛とファンとの交流にフォーカスしてレポートします。
 『かましたれ!』でわき起こった手拍子に対して、「早い! 早い!」一旦演奏を止めてお客さんをたしなめる場面も。会場がなごんだ後、だんだん年代物のエピフォン・オリンピックの音色とお客さんの歓声がひとつになっていく。まるで剛が青春の日々を過ごした博多にタイムスリップしていくような感覚だ。そして曲終わりにはこんな話を披露してくれた。
「明星七号っていう夜行列車に乗ってね、夢をつかむために鹿児島からこの博多に出てきた。博多——っ、博多——って鳴り響くアナウンスを聞いた時に、故郷のことや西鹿児島駅のホームまで見送りに来てくれた母親の姿、それまでのいろんな思い出がこみ上げてきた。そうやって故郷を離れて3年住んだ街だからな、博多は。自分の音楽の、それから人間としての、一番ベーシックなところをここで教わったんだよ」
 集まった博多っ子たちは何度も大きくうなずいていた。きっと、いつかの剛と同じように今まさに田舎から都会に出て来て夢をつかむために切磋琢磨している若者もいたことだろう。そして、剛と同じような青春を過ごした往年のファンもいただろう。
 考えてみれば、青春というのは不思議だ。
 人生は人それぞれだが、青春というのは同じような輝きを放っている。それはおそらく、はじめて立たされた人生の十字路で降り掛かる悩みや、挫折、手痛い裏切りなど、自分と向き合わなければならない経験を誰しもがくぐり抜けて、ようやく方向を見定めて歩き始めるからだろう。
 この日は大サービス、メニューにはない博多にちなんだ曲が演奏された。『待ち合わせの交差点』と『男は女が必要さ』の2曲だ。「天神」「大濠公園」「照和」といった言葉が歌詞に登場する。
 目を閉じて気持ちよく歌っている剛が、たしかに〝いつかの剛〟に見えたような気がした。